鎌田眼科

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ゲーム、携帯電話と子供たち

先日、中学校の学校保健委員会で子供たちへのゲームや携帯電話・パソコン等の影響が話題になりました。
熱中している子供たちが大変に増えているそうです。

パソコン、携帯電話、テレビなどの画面はVDT(Visual Display Terminal)といわれ、VDTを操作する作業を長時間続けるときに生じる様々な影響をVDT症候群と言います。

「ぼやける」「二重に見える」「目が痛い、重い」「目を開けられない」などの眼の症状や、ひどい場合には頭痛、吐き気、イライラ、不安感などの全身症状が生じます。また、瞬きが少なくなるために、眼が乾いて充血、角膜障害などもおこります。

子供ではこのようなVDT症候群の他、熱中して続けることによる身体の緊張から自律神経への影響、他人とのコミュニケーション不足から精神身体的影響がおこる可能性も考えられます。
また、視力への影響も心配されます。

 網膜後方へのディフォーカスにより眼軸が伸びることにより近視になるという考えがあり、短い読書距離や悪い姿勢での読書はディフォーカス増加の原因になるといわれています。同じように、短い距離でじっと見つめて、ゲーム、携帯電話などの操作を長く続けることは、近視発症の大きな要因になると考えられます。

近視は20代になると進まないと言われていました。しかし、VDT作業に従事することで、成人になってから近視が生じたり、弱い近視が更に進行することが報告されています。

 小学生の10%、中学生の20-30%の子供たちに近視がみられ、近視発症の低年齢化、高学年になるほど増加する傾向が指摘されています。文科省の学校保健統計(平成24年)によれば、裸眼視力1.0未満の割合は小学生30.7%、中学生54.4%と大きくなるにつれて増加しています。

近視の発症には遺伝因子と環境因子とが考えられています。
両親が近視の子供は近視になりやすいことがわかっています。環境因子としては ①都市部で多い ②読書距離、読書時間は近視を促進する ③戸外での活動時間は近視を抑制するなどの事実が報告されています。

 そこで、ゲームや携帯電話・パソコン等を行うときには、次のようなことに注意する必要があります。

 ①   正しい姿勢
読書や勉強のときと同じように背中をまっすぐ伸ばし30㎝は離しておこないましょう。

②   休み時間
PC、ゲームは40分以上続けない。10ー15分の休み時間をとりましょう。

③   戸外活動
太陽光線が眼軸の進展を抑制する可能性も論議されているので、積極的に戸外でも遊びましょう。

 

 

眼が痛い

眼が痛いと一口に言っても、眼の表面、眼の周り、眼の奥の痛みなど、様々な痛みがあり、刺すような痛み、ずきんずきんとした痛み、うずくような痛みなどと様々に表現されます。

急性霞粒腫

痛みを伝える神経の一つは三叉神経です。この神経は顔面、頭部の皮膚、歯、口と鼻の粘膜、頭のなかの血管、硬膜、眼の角膜、結膜、ぶどう膜、視神経周囲などに分布しています。
残念ながら網膜は痛みを感じません。
もしも網膜の出血で痛みが生じるなら、早期発見されることにより、進行した増殖糖尿病網膜症で失明に至る人がどれほど救われるかわかりません。(糖尿病網膜症は緑内障に次いで失明原因の第2位を占め、早期発見、早期治療が重要な病気です。)
従って、眼の痛みは眼の病気で起こることもあれば、眼以外の病気で起こることもあります。

眼痛は身体の異常を知らせる重要な注意信号です。眼痛は頭痛の仲間とされており、問題なく治まるものもあれば、なかには視力障害や生命の危険を示す徴候のこともあります。
さて、眼が痛くなったときには、眼が赤くなっているかどうかで状況は異なります。
充血して赤くなっている場合には、眼の病気が原因として考えられます。

 

★ 眼精疲労

眼精疲労は単なる眼の疲れではありません。眼を使い続けることにより、眼痛の他に頭痛、肩凝り、吐き気、めまいなどがおこり、眼は充血し、物がぼやけたり、ショボショボします。

屈折や調節の異常があるひとは適切な眼鏡を使うことが大切です。不適切な眼鏡により眼痛を訴えるひとは意外に多いものです。また、緑内障などの疾患が眼精疲労の原因となっていることもあり注意が必要です。

                       

重篤な視力障害をおこす危険があり、緊急の治療が必要になるものもいくつかあります。

 ★ 角膜潰瘍

角膜の表面にキズがついて、そこに微生物が感染しておこります。

細菌、真菌となんでも感染しますが、ソフトコンタクトレンズ使用者に急増しているアカントアメーバーの感染が問題になっています。失明することもある重篤な疾患ですから、コンタクトレンズの充分な消毒と適切な使用方法が重要です。

フサリウム角膜炎

 

★ 眼内炎

眼球の中に感染が及ぶと眼内炎になります。角膜潰瘍、外傷などに引き続いて起こることもありますが、手術後におきることもあります。
白内障術後眼内炎の頻度は0.05%と言われており、決して少ないものではありません。手術後1週間以内の早期に眼痛、充血、視力低下がおきたときには、すぐに眼科の診察をうけることが必要です。
抗生剤の大量投与や硝子体手術を早急に行います。

術後眼内炎

 

★ 急性緑内障

急激な眼圧の上昇により、眼痛、頭痛がおこり、時には悪心、嘔吐することもあり内科疾患に間違われることもあります。角膜がにごり、見づらくなるとともに、瞳孔もやや散大しています。
直ちに眼圧を下げることが必要で、眼圧が正常に戻ると、眼痛、頭痛などの症状はなくなります。治療が遅れると、視神経が傷害されて見えなくなることもあります。
急性緑内障発作

 

★ 視神経炎

視神経におこる病気です。充血はしませんが、視神経に炎症がおきると突然見えなくなり、眼を動かすと痛いことが特徴です。

頭痛とともに視力低下がおきる虚血性視神経症は、高齢の女性に多い視力予後の悪い疾患です。

 

眼以外の病気が眼痛の原因になるときには、眼の充血はなく、眼痛も眼の奥の痛みが主となります。最初に眼科を受診することも珍しくなく、他科との連携が重要です。

 

★ 虫歯、副鼻腔炎

歯科や耳鼻科の病気も眼痛の原因になります。長く続いていた眼痛が、歯の治療をして治ってしまうことや、急性の副鼻腔炎で眼痛を訴えることがあります。

 

★ 頭蓋内の病変

頭のなかの病気では頭痛を生じますが、眼の奥の眼窩痛として感じることがあります。脳腫瘍、くも膜下出血、海綿静脈洞の血栓、三叉神経痛などでみられます。

激しい頭痛・眼痛と眼瞼が下がり、散瞳、眼球運動障害がみられる時には、脳動脈瘤の破裂の可能性が高いことが予想され、眼科よりも直ちに脳外科の診察が必要です。

 

★ 機能性頭痛

いわゆる頭痛持ち、慢性頭痛も眼痛との関係があります。

女性に多いズキンズキンとした拍動性の痛みが周期的におこる偏頭痛では、こめかみや眼の周りに痛みが生じます。チカチカするなどの前兆を伴うことがあります。

群発頭痛は若い男性に多く、1,2ヶ月間毎日のように、それも明け方に耐え難い激痛が片眼に生じます。眼の充血、流涙、縮瞳、眼瞼下垂などを伴うことも特徴です。

頭が締め付けられるように痛む筋緊張性頭痛でも眼の奥の鈍痛を自覚症状とすることがあります。

これらの治療は頭痛外来が中心となります。

 このように眼が痛いときには様々な原因があります。我慢しないで医療機関に相談してください。眼科だけが窓口ではありません。

子供の目はいつから見える?

お子さんをお持ちの方はご存じでしょうが、生まれたばかりの赤ん坊はまだよく見えていません。生まれて4ヶ月位経つと、動くものを眼で追いかけることができるようになります。大部分の子供が大人と同じような視力を持つのは6才になってからです。
眼は完成して生まれてくるのではなくて、身体の発育とともに時間をかけて発達します
この生後から6才までの成長期に、毎日ものを見ることによる眼への刺激がないと、大きくなっても良い視力が得られません。視力が悪いまま成長が止まった状態を弱視といいます。

 

どうすればお子さんの視力の悪いこと、弱視の危険について早く見つけられるでしょうか?

 

下がったまぶた(眼瞼下垂)、水晶体や角膜の濁り(白内障、角膜混濁)、視線の違う両目(斜視)などの外見の異常は、適切な刺激を邪魔する原因としては分かり易いものです。眼の中に光がうまく入らないため、刺激が足りずに十分に発達できません。

1才までの乳児健診や1歳半健診で見つけられることもありますが、ご家族もお子さんの眼を普段からよく見ておくことも必要でしょう。視線のずれを確認するためには、正面から撮った写真が役に立ちます。いわゆる赤目の位置で確認できます。

話しは少し横道にずれますが、同じ理由で乳幼児の眼帯には気をつけましょう。光が遮蔽されるために短期間の眼帯でも弱視になることがあります。

 

見た目の変わりがないときには、視力が悪いことに気づくのは容易ではありません。子供が見えないと訴えることはあまりありません。
子供のしぐさ、例えば眼を細めて見たり、片方の眼を隠すといやがるなどのしぐさに注意することが必要です。

 屈折の異常も弱視の大きな原因です。

強い近視や乱視、中等度以上の遠視ではピントがうまく合わないために、視力が悪いままになってしまいます。特に、左右の眼の屈折が極端に違う場合(不同視)、強い遠視のことが多いのですが、度の強い方は使われないために弱視になりやすい眼です。

 子供の視力を検査する機会は少なく、入学前の就学時健診で始めて視力の悪いことがわかっても、すでに手遅れのことがあります。

弱視の治療は早く始めるほど、効果があります。3歳児健診を必ず受けて、眼科専門医での精密検査、治療をおこなうことが、お子さんの眼を守るためには重要です。

 治療についても簡単にお話しします。

斜視や眼瞼下垂、白内障では手術が必要となることもありますし、屈折異常ではメガネで矯正することが必要です。

小さいお子さんにメガネをかけさせることには抵抗があると思いますが、遠視の子供さんは常にメガネを使ってピントを合わせておくことが必要です。

また、不同視のある子供では良い方の眼を1日数時間遮蔽して、悪い眼を強制的に使うことも必要となります。

花粉症

今日、眼がかゆくなった方とごろごろする方が朝早くお出でになりました。
徳島でもいよいよスギ花粉が飛散する時期になりました。

今年のピークは2月後半から3月中・下旬になるといわれていますが、飛散量は例年の2倍前後と予想されています。
眼や鼻の症状の他にも頭痛、全身倦怠感などもおこり、日常生活の集中力や判断力も低下して、花粉症で悩む方にはつらい時期が始まりました。

スギ花粉

花粉の飛散する決まった時期におきる急性の結膜炎を季節性アレルギー性結膜炎といいます。春先にスギ花粉によるものが大部分ですが、その他にも5月にはヒノキ、5-6月にはカモガヤ、8-10月にはブタクサ、ヨミギなどの花粉も原因になります。
花粉がアレルゲンとなって、眼や鼻の粘膜に接触することでアレルギー反応が起きるために症状が出現します。
眼の症状は、かゆみ・充血・涙が出る・ごろごろする・はれぼったいなどで、検査すると結膜の充血、浮腫があり、まぶたが腫れていることもあります。くしゃみ・鼻水・鼻づまりなどの鼻の症状もみられます。

外出をひかえたり、マスク装用などで花粉を遠ざけることも予防のひとつですが、飛散開始前より抗アレルギー点眼薬を使うことで、症状出現を遅らせたり、軽くすることができます。
抗アレルギー点眼薬には、アレルギー症状をおこす物質がでるのを抑えるもの(ケミカルメディエーター遊離抑制薬)とその物質の作用を抑えるもの(抗ヒスタミン薬)の2種類があります。
実際には花粉の飛散開始2週間以上前からケミカルメディエーター遊離抑制薬を開始し、飛散時期からはかゆみに対する即効性を重視して抗ヒスタミン薬を使用します
症状が大変強い場合には、ステロイド点眼薬を用いることもありますが、定期的検査で眼圧上昇や感染誘発に注意することが必要です。

上手に点眼薬を使用して、この時期を乗り切りましょう。